若手のための研究補助ツール紹介
メモ用ツール
研究を円滑に進め論文化する上で、自分の研究の過程を記録しておくことは重要です。このときに気をつけなければならないのは、半年、一年後でもわかるように、また他人が見てもわかるように書くことです。わかりやすく書こうと思うと、自然と数式や図を入れる必要が出てくるでしょう。また、共同研究の場合、ノートをそのまま共有できれば現状を伝えるときに非常に便利です。
まとめると、
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図や表を挿入できる
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Markdown、Tex形式にも対応
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人に共有しやすい
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PDF出力も簡単
このような条件を満たしたツールが欲しいわけです。
そこで、このページではいくつかのメモ用ツールを紹介し、それぞれにどのような特徴があるのか簡単に説明します。
Evernoteはメモ用のツールとして必要な機能をほとんど揃えており、Windows/Mac/iOSに対応しています。ノート(ファイル)、ノートブック(フォルダ)という階層構造になっており、簡単にメモを整理することができます。またUIも見やすく、どこのメモに何を書いたのか忘れても比較的簡単に探し出せるでしょう。基本的に無料なのも学生にとっては大きな魅力です。
Evernoteの長所と短所を以下にまとめておきます。
長所
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シンプルで使いやすいUI
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複数の端末間での連携が簡単 (無料プランだと2 deviceまで)
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基本的に無料
短所
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Markdown記法に対応していない
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TeX形式に対応していない
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画像を多くアップロード(~10GB/month)しようとすると有料になる
TeX形式に対応していないので数式を入れる際にはLaTeXITなどで画像にしてから図として挿入する必要があります。また、月間にアップロードできるのノートのサイズに上限があるのでサイズの大きい図をたくさん貼り付ける場合には注意が必要になります。
ただ、これらの欠点を考えてもとにかく使いやすいことは間違い無いのでどれにしたらいいかわからない人などはとにかく一度使ってみても良いと思います。
Boostnote
Boostnoteはプログラマー向けのノートツールです。Markdown, TeX形式にも対応しているのでこれらを普段から使う人であればよく馴染むと思います。Windows/Mac/Linuxに対応しており、Evernote同様フォルダ>ノートという構造になっているので整理も簡単です。さらに、コードを書くためのノートを作ることもでき、言語を選ぶことでその言語特有の色付け、ハイライトを勝手に行ってくれます。また、基本的に無料なのでプログラム系の学生にとっては非常に有用なツールなのでは無いでしょうか。
以下にBoostnoteの特徴をまとめておきます。
長所
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Markdown, TeXに対応
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多くのプログラミング言語に対応
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無料
短所
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Markdown形式でしか書けない
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他人と共有しようとするとどちらもBoostnoteを入れている必要がある (もしくはPDF出力して共有)
とにかくMarkdownに慣れている人向けという感じのツールです。また、Boostnoteを入れている人同士でした直接的なノートの共有ができません。しかし一度Markdownに慣れてしまえば数式を挿入しやすい分Evernoteよりも使いやすいでしょう。基本的に無料なので一度試してみるのも手です。
GoodNotes
GoodNotesはiOS向けのノートツールで、PDFファイルに書き込めるのが特徴です。論文を読んでメモするときや資料に直接書き込みたいときは非常に便利ですが、最新版のGoodNotes 5はMacに対応していないので注意が必要です。
iPadなどを持っていて、手書きでメモを取りたい、PDFに手書きで書き込みたいという人にオススメです。
LiquidText
これもiOSアプリで、メモという感じでは無いのですがGoodNotes同様PDFに手書きで書き込むことができます。GoodNotesと違うのは、PDFの一部をクリップしてワークスペース内で好きに配置することができるという点です。LiquidTextでは画面の左側に元々のPDF、右側がワークスペースという配置なのですが、左側のPDFから一部をクリップして右側に貼りつけ、矢印や線で結ぶなど自由な編集が可能になっています。
ただし、無料版ではPDFのクリップのみで文字などを書き込むことができないので注意が必要です。また、複数のPDFを同時に編集したい場合にも有料版を購入する必要があります。